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『万引き家族』にみる人との絆とは…

 

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こんにちは、麗美です。

先日、カンヌ映画祭パルムドールを受賞した話題作万引き家族を観ました。

 

「面白かった」とか「感動した」などという一般的な感想では括れない、見た直後思わず絶句してしまう作品でした。

 

貧困・虐待・独居老人など、現代日本の様々な社会問題が描かれています。

しかし、説教じみたメッセージ性のある描き方ではなく、そんな問題と直面しながら身を寄せ合って暮らす「家族」の姿をただ淡々と映しているのです。

 

まるで、「彼らの姿を見て、あなたはどう思いますか?」と、心に問いかけるように。

 

今日は、『万引き家族』のストーリー紹介と、その感想についてお話ししていきたいと思います。

 

【『万引き家族』ストーリー】

 

舞台は、下町の一角にあるボロボロの古い一軒家。

その小さな家に、高齢の祖母、父母、母の妹、小学生くらいの男の子の5人が、身を寄せ合うように暮らしています。

  

父は工事現場の日雇い、母はクリーニング工場のパートとして働き、暮らしぶりは貧しく、万引きで生活をしのいでいます。

 

万引きするのは、父と息子。

父は息子に万引きの仕方を教え、父子の連係プレーで食料品や日用品に至るまで万引きで調達します。

 

罪悪感のかけらもなく、万引きした商品を笑顔で持ち帰る父子。

そして、万引きで得た食料を談笑しながら平気で食べる祖母や母たち。

 

道徳観や倫理観が欠如した非常識な言動に戸惑いましたが、話が進むにつれ家族への印象は変わってきます。

 
特に、虐待を受けている幼い女の子との出会いが、その家族の「人間らしさ」を浮かび上がらせます。
 

親から虐待を受け、家の外に放置されていた幼い女の子。
万引きの帰り、父子はその女の子を見掛けて見捨てておけず、家に連れ帰り晩ごはんを食べさせます。

そして、女の子身体に虐待で受けた傷を見つけ、親の元へ返すことを躊躇し、そのまま家族の一員に…。

 

平気で窃盗という犯罪を犯しながらも、自分が弱い人間だからこそ、人の痛みを自分に重ね合わせてシンパシーを感じてしまう。

だから、誰かに捨てられた弱い人を見掛けたら、つい手を差し伸べてしまうんですよね。

 

こうやって、血のつながらない女の子を家族として迎え育てていく訳ですが、徐々にこの家族の大きな秘密が明らかになっていきます。

そして、あることをきっかけに、この家族に終わりの日が訪れてしまうのです…。

 

 【人との絆とは…】

 
 貧困や虐待、トラウマなど深刻な問題を抱えている、6人家族。
 さらに、リストラ、誘拐疑惑など、次々と新たなトラブルが家族に降りかかります。
 
それらの問題に直面しながらも、この家族に悲壮感は無く、どこかあっけらかんとしているのですよね。
1人だったら現実の苦しみから逃れられないけれど、家族みんなと一緒だから笑顔で毎日を過ごすことができる。
 
そんな「家族の絆」が、この家族の唯一の「希望」として描かれています。
しかし、ある事件をきっかけに、その「家族の絆」は「まやかし」だったと分かる訳ですが…。
 
でも、「家族の絆」はまやかしであったとしても、この家族の「人としての絆」は本物だったと思います。
それは、物語終盤での母の言葉、父と息子の別れのシーン、女の子の最後の表情などで、切なくなるほどに表現されています。
 
現代の日本社会では、いわゆる負け組にカテゴライズされてしまう人たち。
一人一人は弱々しく、この厳しい現実社会で普通に生きていくことは非常に難しいけれど、6人で身を寄せ合うことで生きていける。
 
私はこの家族をみて「愛おしくて哀しい」感情を抱きました。
 
さて、あなたは 
「彼らの姿を見て、どう思いますか?」